コマツナギ(駒繋ぎ)

マメ科 コマツナギ属
Indigofera pseudo-tinctoria

 野原、川の土手、道端などの日

 当たりのよいところに生える

 高さ60〜90センチの草本

 状の小低木。葉は奇数羽状複

 葉で互生する。小葉は3〜6

 対で、長さ1センチ程の長楕

 円形。花期は7〜9月、本州、

 四国、九州に分布する。




 試しに茎を持って、思いっきり引っ張ったことはないのですが、根や茎

が馬(駒)を繋いでおいても抜けないくらい丈夫なので、この名前がつけ

られたといいます。(後日、コマツナギの名前の由来に関するもうひとつ

の説を読者の方から送って頂きました。ページの終りに紹介致しましたの

で、合わせてご覧ください。)

 日野で植物を観察するようになって、コマツナギはなかなか見つけられ

なかった花のひとつでした。夏の暑い盛りに、クリーンセンター近くの多

摩川の土手で、花や昆虫の写真を撮っていた時、やっとコマツナギを見つ

けることができました。その時『クズの花を小さくしたような花だなぁ』

と思ったものでした。しかし、葉は奇数羽状複葉で、クズとは全然違いま

す。複葉の形はニセアカシアによく似ています。



 
'98.7.31 丈夫な茎が、長く伸びる


 
'99.7.26 花はクズの花を小さくしたよう。


 
'00.10.12 豆果は最後には黒くなる。



 
奇数羽状複葉


 
偶数羽状複葉

ふたつとも、これ全部で1枚の葉



 山と渓谷社より出されている『日本の野草』には「全体が草のように見

える小低木」とあり、同じ山と渓谷社の『野に咲く花』には、「草本状の

低木」と書かれています。ということは、厳密にいえば木本であるという

ことです。落葉とも常緑とも書かれていませんが、葉の様子から見て多分

落葉小低木でしょう。

 そもそも木本とは、小学館の辞典によれば「地上部の茎が木質化してい

る多年生の植物。」とのことです。同じような小さな木本に、秋に花をつ

けるコウヤボウキがあります。

 また、つる性の植物、例えばクズやヘクソカズラなども、図鑑には草本

と書かれていますが、時折地上部に残った茎の冬芽から、若葉が出ている

のを見かけます。木本と草本の中間的な存在なのでしょうか。タケやササ

の類も、どちらと考えたらよいか迷います。

 大きくても地上部の茎が木質化して、冬でも残っていなければ木ではな

いので、近所に植えてあるバショウやバショウによく似ているバナナも、

冬になると地上部はすっかり枯れてしまうことから草の仲間ということな

ります。感覚的にはバショウの木、バナナの木といいたくなりますが…。

 これは余談ですが、ご近所のお婆ちゃんがそのバショウの前で「これは

バナナの木で、そのうちにバナナの実がなる。」とおっしゃっていました。

お婆ちゃん、いくら待ってもバナナはできませんよ〜!。


 
 近所に植えられているバショウの草(何か変な感じ)



※コマツナギの名前に関するもうひとつの説

「コマツナギの意味ですが馬を縛り付けても根が強いので!という意味と、

馬はコマツナギが大好物で手綱を縛らないでも、いつまでも動かないで居

てくれる!という意味があるようです。」

 この情報は、広島県在住の気まぐれ広島人さんこと吉本悟さんから送っ

て頂きました。小学館国語大辞典には、コマツナギの漢名を「馬棘」と書

いてありました。棘の字は、いばらと読みとげのある低木類とか、バラ科

バラ属の低木の総称とありますので、ちょっとコマツナギには当てはまら

ないように思えますが、その前に馬の字があることを考えると、吉本悟さ

んの説のように馬の好物なのかなという興味が湧いてきました。

 吉本悟さん、どうもありがとうございました。

気まぐれ広島人さんこと、吉本悟さんのホームページへはこちらから。



※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のポケット図鑑2、山渓
ハンディ図鑑1、山渓カラー名鑑『日本の野草』を参考にさせて頂きました。


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