ゲンノショウコ (現の証拠)

別名 ミコシグサ(神輿草)

フウロソウ科 フウロソウ属

Geranium thunbergii

  日当たりのよい道端や山野に生える

 多年草。茎は地を這い長さ30〜70

 cm。葉は対生で普通掌状に3〜5裂。

 裂片上部に鈍い鋸歯があり、葉面には

 暗紫色の斑点がある。花は葉腋から花

 茎を出し白ないし紅紫色の小さな5弁

 花を1、2個ずつ付ける。花期は7〜

 11月で、北海道から九州に分布する。




 薬になるので採取されたためか、日野市内ではあまり生息している場所

はないようです。植物図鑑などによると花期は7〜11月となっています

が、日野市内では9月の終わりから10月に最も多く開花が見られるよう

で、その花を何で11月の今頃に特集をするのかといいますと、花が終っ

て果実が熟し種子を飛ばした後の形が、お神輿の屋根の形によく似ていて

面白く、それが11月にけっこうよく見られるので特集してみました。別

名のミコシグサの名はここからきているとのことです。

 花が受粉を終えて、果実が熟し、種子を飛ばしてお神輿の屋根のような

形になるまでの様子を観察して、アニメーションにしてみました。




種子が飛ぶまでの様子

裂開の引き金は乾燥でその時が来る
までは、叩いても裂開しません。


 
弾ける前は打ち上げを待ってい
るロケットのようにも見える。

 
萼片は花が終ると、白花、紅紫
色花ともに赤味を帯びてくる。

 
画像右上は蕾、中央下は開花が終わり花弁が
落ちた頃、開花中の花にはおしべが10個ず
つ見えるが、花柱はまだ5裂していない。


 
花柱は5裂している。茎の上部や
葉柄、花柄、萼、さく果には毛の
他に、腺毛もたくさん見られる。




 心皮の上部がくちばし状に成長したさく果は、成熟してある段階まで乾燥する

と、種子のついている下の方が外れて上に巻き上がり、その勢いで種子を遠くに

弾き飛ばします。ですからお神輿の屋根のようなものの先端の袋の中は皆空っぽ

です。時々上手く成熟しそこねた種子が、くちばし状の心皮の根元にくっついた

まま残っているのを見かけます。

 茎、葉の煎じた汁は、大腸カタル、赤痢、胃潰瘍などに効用があるとされ、下

痢止めの民間薬として有名ですが、飲むとすぐに効くということで、この名前が

ついたようです。タチマチグサと呼ぶ地方もあるそうです。わたしも何回か薬局

でゲンノショウコを買って煎じて飲んでみましたが、タチマチグサという印象は

残念ながら感じませんでした。ちなみに薬効の主成分はタンニンだとのことです。

 また東日本には白花、西日本には紅紫花が多いようですが、シンフォレスト社

のCD「日本の野草図鑑」によりますと『東日本では紅紫花が薬効が高いとされ、

西日本ではその逆だったために、花色の地域差ができた。』と書かれてありまし

た。センブリが薬問屋に売れるというので皆に採られ、今ではほとんど見ること

ができないことを思うと、本当にそうなのかもしれませんね。


※今回の特集は、ゲンノショウコの種子散布の仕組みの巧みさに感動したことも

選定の理由でした。自然の知恵に感謝して。


※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のハンディ図鑑1、シンフォ
レスト社のCD「日本の野草図鑑」、小学館の Bookshelf basic version2の
国語辞典を参考にさせて頂きました。
.................


※このホームページをご覧になったご感想、植物に関
するご質問、情報、ご意見、エピソードなどござい
ましたら
「みどりの掲示板」にお書き込みください。